あらすじ
大阪を舞台に、マチ金会社「帝国金融」の営業マン灰原達之と、借金にまつわる因業深い人間模様を描いた作品。
ご祝儀を盗まれてしまい穴埋めに奔走したあげく取り込み詐欺に手を出し破滅する男、詐欺的先物取引で全てを失う小学校教頭、法律の網の目をかいくぐる闇金融業者、更にはライバル企業との対決など、様々な人間や社会の裏表を描く。青木雄二の独特なアクのある絵が読者に強いインパクトを与え、人気作となった。
舞台となる地名、背景に登場する看板や物などに独特の名づけられ方がされているのも特徴で、連載当時の社会事象・事件等を茶化したものや、猥雑な文字列が容赦なく多用されている。
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登場人物
灰原 達之(はいばら たつゆき)
主人公。勤めていた印刷会社が倒産し、再就職先として金融業を志すが、過去に前の職場の社長の頼みで金融会社から借り入れしていた経験があったため、「まともな金融屋」には採用されなかった。しかし「これを最後の賭け」として面接に行った「株式会社帝國金融」で、追い込みに遭遇し、成り行きから見学を兼ねて現場に同行することになる。そこで金を借りてしまった者の末路を見つつも「これほど本音で仕事する業種は他にない」と金融業を自分の天職に決め、大阪一の金融屋を目指す。初めは金融業にしては情に流され甘いところが見られたが、様々な葛藤や裏切りを経験し、図太い精神を身に付けていく。
桑田 澄男(くわた すみお)
入社したての灰原の教育係を勤めた先輩のベテラン金融マン。灰原とよくコンビを組んでいた。出っ歯でパンチパーマに粗野な大阪弁、荒っぽい態度と見た目はヤクザそのもので、実際に声を掛けた女性にヤクザと誤解されて逃げられることもあった。灰原たち後輩への面倒見がよく、時にはひょうきんな所も見せる。
金畑 金三(かねはた きんぞう)
帝国金融の社長。海千山千の大ベテランで広い人脈を持つ。性格は温厚だが、決して情に流されず常に社員をコントロールし、豊富な人脈と強いカリスマ性を印象付けている。
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高山(たかやま)
帝国金融のナンバー2で、部長。社員を直接仕切る管理職で、面倒見は良いが、よく怒鳴るなど厳しい面もある。桑田と同じくパンチパーマで、常に三白眼と、こちらもヤクザのようである。
吉村 定雄(よしむら さだお)
途中入社の新人だが年齢は灰原より上の30代。司法書士を目指しており、以前勤務していた法務事務所の倒産に伴い入社。大人しく几帳面で、法的書類の作成等で活躍。登場当初こそ怒鳴りつけられて落ち込むなど気の弱さが目立ったが、徐々に自分の役目を果たせるようになった。1人担当の仕事も描かれた。所帯持ちで、妻と2人の子がいる。当初、受験勉強のため週3回のパートタイマー勤務として入社した。
元木(もとき)
帝国金融社員。坊主頭でこれまたヤクザのような外見である。するどい観察眼を持っている。
悪徳 栄(あくとく さかえ)
帝国金融の顧問弁護士。金畑社長とは旧友で、帝国金融内でトラブルがあった際には必ず頼りにされている存在。灰原たちは「眉唾臭い話」といっているが、過去にはプロ野球の契約問題にも関わった事もあるらしい。報酬は法外であるが、夜逃げしたテナントのビルオーナーに圧力をかけたり、灰原の釈放を手助けしたりと着実に仕事をこなしていた。
市村 朱美(いちむら あけみ)
灰原の恋人となる女性。美しい容姿を持ち、年齢は20代半ば。ヤクザと付き合い、相手に合わせて全身に刺青を入れる。帝国金融のビルに入居した広告代理店「誇大広告社」に勤めており、ひょんなことからそこでアルバイトをすることになった灰原と知り合い、お互いに惹かれていき、付き合い始めた。しっかり者で灰原をサポートする。
泥沼 亀之助(どろぬま かめのすけ)
灰原の顧客。恩のある先輩の結婚式で祝儀詐欺の被害に遭い、帝国に融資を申し込んだ。帝国からの借金はクレジットカードを使い完済するも、借金は増え、行き詰る。無計画な借り入れとその場しのぎの返済繰り返すさまは自転車操業であり、まさに泥沼にはまっていくようであった。その結果思いつきで始めた取り込み詐欺により、警察に逮捕される。
三宮 損得(さんのみや そんとく)
灰原の顧客で市立鈍才小学校の教頭。地元の名家三宮家の婿養子、蟻地獄物産を通じて先物取引にはまり、同社に対して多額の借金を抱える。その後借金のみならず、ありとあらゆるものに手をつけていくことになる。最終的には警備員となるが、人間的に少し成長した様子が描かれる。