あらすじ
トカラ編
ヤクザと不正な賭けゴルフをしたためにプロ資格を剥奪された中年の元プロゴルファー・五十嵐一賀は、職を得るためにはるばるフェリーで一晩かけて、鹿児島のトカラ列島の「火之島」へと転居してきた。
人口百数十人ほどしかいない『最高僻地5級地』の離島で出会った中学生3年生の少女・大井とんぼは、幼いころに両親を事故で亡くし、親戚が引き取りを拒否してトラウマとなり、漁師をする祖父のゴンじいに引き取られた過去があった。
島には島民たちが自ら作り上げた3ホールのゴルフコースがあり、とんぼはたった1本の「父の形見の3番アイアン」で遊びながらゴルフを覚えており、曲芸のような打球を自由自在に繰り出す「個性的で自由奔放なゴルフ」に五十嵐は魅せられていく。
型にはまらないゴルフのままで、とんぼに『競技ゴルフ』をさせてみたいと思うようになった五十嵐は策をめぐらし、島の診療所のマドンナ・安谷屋洋子の姪で、同年代で九州ジュニアに優勝したという安谷屋つぶらを島に呼び寄せる。プロ志向のつぶらとの出会いを機に、外の世界に興味を持ったとんぼは、島を出て高校へ入学してゴルフをすることを決める。
九州女子選手権編
熊本の高校に入学したとんぼは、2人の子供をプロにした『武蔵塚ゴルフ練習場』のオーナーである有働九五郎の家に下宿して、レッスンプロの長男・有働はじめのレッスンを受けることになる。前年度の九州ジュニア優勝の一年先輩の音羽ひのきにも打ち解けたとんぼは、初めての競技ゴルフ「九州女子選手権」に出場し、7本のクラブで初日1位となり関係者を驚愕させる。
2日目の最終組でただ一人無名の新人とんぼは、九州ジュニア優勝の音羽ひのき、日本ジュニア優勝の安谷屋つぶら、元世界ジュニアチャンピオンのエマ・クリスと一緒の組となる。しかし、スコアを気にしないとんぼの破天荒なゴルフは、ことごとく裏目に出てスコアを大きく落としてしまう。
強風となった3日目は・・・・・
日本女子アマ選手権編
日本女子アマ選手権に参加するため、とんぼは「双雲寺」というお寺に宿泊することになる。その寺で「鳴寂」という名で坊主をしている女子・猪股幸は、傷害で少年院に入っていたがゴルフで更生し、48インチのドライバーを武器に、とんぼと一緒の組で日本女子アマ選手権に出場する。鳴寂の大胆ゴルフに引きずられ、初日のとんぼは48位、鳴寂は30位に終わる。
2日目は、互いに新しいテクニックを試合で試しながらのプレイをした結果、とんぼは6位タイ、鳴寂は19位タイとなる。3日目は、父親がキャディーの大賀茂小鴨と一緒の組となり、素振りをしない小鴨のスピードゴルフに翻弄されるも、小鴨のプレイを自分のものとし、とんぼは3位、鳴寂は4位と躍進する。
4日目の最終組になったとんぼは・・・・・
日本ジュニアゴルフ選手権編
九州ジュニアゴルフ選手権に出場したとんぼは、2位に6打差をつけて優勝して、日本ジュニア選手権に進む。そんな中、とんぼは通学で一緒になった、料理人を目指してバイトに励んでいる高校生・瀬名一馬と友達付き合いを始める。
日本ジュニアゴルフ選手権の初日、とんぼは11位タイから発進する。往年のゴルファーのようなプレイから、目の肥えた重鎮ゴルファーたちの注目を集め、2日目ではトップに躍進。最終組となった3日目は・・・・・
ジュニアゴルフ・ワールドカップ編
つぶらと共に男女各6名の「日本代表チーム」に選抜されたとんぼは、世界を視野に入れた英会話でのコミュニケーションや、科学的なトレーニングを体験していく。それから半年後、トヨタジュニアゴルフ・ワールドカップが開催され、とんぼら日本代表チームも参加する。
八木小梅は才色兼備なアメリカ代表のマーガレットと対戦し、つぶらは騒々しいスペイン代表のガブリエラと対戦することになる。そしてとんぼは、賭けゴルフをしてゴルフを覚えたスペイン代表のデボラと対戦し、互いに「自由奔放なゴルフ」で競い合う。初日1位のタイとは一打差で、日本チームは2位。2日目には、タイとは2打差の2位と差を広げられる。
3日目、タイ代表のプリン、アメリカ代表のパティと対戦することになったとんぼは、メンバー全員が各チームで最下位同士ながら追撃を開始し、とんぼは前半29の本大会レコード記録を達成して、個人2位にまで浮上する。
最終日、1打差で追うタイチームに・・・・・
軽井沢ゴルフレディス編
軽井沢ゴルフレディスに出場することになったとんぼは、日本女子の強豪プロゴルファー達と対戦をすることになり、イップスに苦しんでいる古豪・朝菜ゆうな、これまで不遇のプロ生活を送ってきた夏目珠らと共にプレイすることになる。
とんぼは初日トップとなり、「期待の新人」として大きな注目を集める。しかし、キャディを務めた五十嵐の「プロ資格剥奪の過去」がマスコミに取り上げられて問題視され、観客の中傷を気にしたとんぼは大きくスコアを落としてしまう。
最終日、上位陣がひしめき合う中で・・・・・
五十嵐プロテスト編
ワールドカップ編で知り合ったタイでコーチ業をしている日本人ダーウォの助言から、プロ復帰を目指す五十嵐はプロテストを受けるためタイへと飛ぶ。タイチームのコーチをしていた日本人女性アイの助けを借りて、タイでの衣食住をクリアしていくが、練習ホールでは五十嵐の技術をもってしても「タイのコース攻略のハードルは高い」と実感させられる。
日本語の通じるシングルマザー女性・ロムをキャディーに指名してプロテストに臨んだ五十嵐は、安定した「大人のゴルフ」を見せつけて初日・二日目連続で1位となる。しかし3日目、同伴プレイヤーのヒートの競争心に当てられた五十嵐は、大幅にスコアを落としてしまい、合格ラインギリギリのトータル+4となってしまう。
最終日、ヒートと、その双子の弟・クワイエットと共にプレイすることになった五十嵐は、追撃を開始していく。
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登場人物
大井 とんぼ(おおい とんぼ)
声 - はやしりか
本作の主人公
中学3年生のゴルフ少女、天真爛漫な性格をしているが、幼少期に両親が死亡して落ち込んでいる時に、親戚一同が「自分の引き取り先を誰にするか」で揉めていたのを見て、本土に強い抵抗を感じるようになった。
五十嵐の尽力と、安谷屋つぶらの強い意志のあるゴルフと生き方を見て、次第に外の世界に興味を持つようになり、熊本の高校へ通いながらプロゴルファーを目指すようになる。
五十嵐 一賀(いがらし かずよし) / イガイガ
声 - 東地宏樹
元プロゴルファー
ヤクザと賭けゴルフをした際に、予想外の高額レートだったことから迷った挙句に数百万円を受け取ってしまい、それがバレてプロ資格を剥奪される。妻子持ちだったが、その事件を機に既に離婚している。その後、まともな職に就くことができず、トカラ島の求人を見て飛びついて採用面接する前なのに引っ越してきた。
とんぼのゴルフに驚き、その自由奔放なゴルフのままで競技ゴルフをさせてみたいと思うようになった。それまで一般人へのレッスンは頑なにしてこなかったが、実は論理的な指導力の持ち主であり、とんぼには自分のやり方を押し付けようとせず、とんぼの良さを活かす指導を行っている。
息子がゴルフに興味を持ち始めた際に、ろくに教えもしなかった上に、息子の努力をないがしろにする発言をしたため、息子とも距離が出来てしまった。
安谷屋 円(あだにや つぶら)
声 - 喜多村英梨
安谷屋洋子の姪
昨年の熊本女子の優勝者で、日本ジュニアの優勝者でもある。とんぼに似た天真爛漫な性格であるが、プロ志向が強く、世界で活躍して父親に恩返しがしたいと思っている。基本的には安定した堅実なゴルフであり、大きくスコアを崩すことが少ない。
音羽 ひのき
とんぼの一年先輩で、同じ『武蔵塚ゴルフ練習場』のレッスン生。一昨年の九州女子の優勝者であり、昨年の優勝者であるつぶらをライバル視している。
父親から過度な期待を受けており、それがプレッシャーになっている。試合で不正をしてしまい、自分が不正をしたことを勇気を出して表彰式前に告白した。
エマ・クリス
ハーフの元世界ジュニアチャンピオンだったが、ワニに襲われて左足を負傷。手術後とリハビリ後に、左利きに転向した。
猪股 幸 / 鳴寂
「双雲寺」というお寺で「鳴寂」という名で坊主をしている。家庭内暴力の父親を刺して傷害罪で少年院に入っていたが、双雲寺の和尚の勧めからゴルフを始めて更生した。48インチのドライバーを武器に、誰よりも飛ばすゴルフを信条にしている。日本女子アマ選手権の1~2日目に、とんぼと一緒の組になった。
大賀茂 小鴨(おおがも こがも)
小学生か中学生にも見える見た目だが、20歳の成人女性。日本女子アマ選手権の3日目に、とんぼと一緒の組になった。「さっさと打て」という父の教えにより、素振りもせずに打つため非常にテンポが早い。
築山 嬉々
日本の女子アマ界において最強の選手。日本女子アマ選手権以外のすべての大会で勝利を飾っており、日本女子アマ選手権の奪取を狙っている。裕福な家に生まれた反動で、ストイックなまでにゴルフで成功者となる努力を続けている。将来はプロにはならず、ゴルフ場の設計をしたいという夢を持っている。
八木 小梅
日本代表チームの一人。とんぼ&つぶらより一つ年上の高校3年生。高校ゴルフ選手権の春季大会優勝。世界には出ずに日本でプロ活動をして、将来は30歳で引退してイケメンと結婚するのが夢。家族に一軒家をプレゼントするのが目標。つぶらからは志が低いと思われている。全体的なパフォーマンスは突出していないものの、頭脳派なゴルフをする。ウッドの数が多く、8本を採用している。東北なまりである。
マーガレット・ペイジ
アメリカ代表のエース選手。容姿が優れている。ドラコン大会で1位になったが、飛ばすだけではないオールラウンドプレイヤー。1〜2日目の小梅の対戦相手。
ガブリエラ・エレーラ
スペイン代表の中心選手。おそろしく負けず嫌い。1〜2日目のつぶらの対戦相手。
デボラ・レオン
スペイン代表。農家の子供であり、裕福でない中で近所のゴルフコースに忍び込んでゴルフを覚え、小遣い稼ぎに賭けゴルフをして実力をつけた。とんぼのゴルフに似て、既存のフォームにこだわらない。1〜2日目のとんぼの対戦相手。
プリチャ・シャルニーボン
タイ代表、愛称は「プリン」
心のコントロールがうまく、失敗しても応えない試合巧者。3~4日目のとんぼの対戦相手。
マニー
フィジカルを鍛え上げた飛ばし屋タイプ。幼少時代から父親にトレーニングを強要され、学校にも足にウェイトを付けて通わされていたことから、父親を憎んでいる。3~4日目の小梅の対戦相手。
朝菜 ゆうな
過去17回の勝利をした古豪であるが、現在はイップスに苦しんでいる。とんぼのプレーからヒントを得ていく。
婚約者との結婚を夢見ており、優勝したら結婚すると決めているが、婚約者からは「年齢的にそろそろ限界であり、結婚するか別れるか」を迫られている。
夏目 珠
高校時代では芽が出ず、これまで不遇のプロ生活を送ってきた。
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大井 権三(おおい ごんぞう) / ゴンじい
声 - 青森伸
とんぼの祖父
火之島で漁師をしている。強面だが優しい性格をしている。
満島 セツ / セツばあ
声 - 有馬瑞香
権三の幼馴染
火之島で民宿を営んでいる。
安谷屋 洋子(あだにや ようこ) / マドンナ
声 - 舞羽美海
火之島の診療所で看護師を勤めており、島内の男性からは絶大な人気を誇る。40代で未婚である。実は子供を降ろした経験があり、子供を産めない体であったことから、結婚を諦めていた経緯があった。ブンペイから猛烈なアタックを受けていたが、最終的にプロポーズをOKした。
文平 律 / ブンペイ
声 - 榎木淳弥
火之島でのゴルフ仲間の青年
洋子に惚れておりアタックしているが、なかなかOKをもらえなかった。最終的に洋子が子供を産めないことも知った上で結婚を申し込み、洋子と所帯を持つことになった。
肥後 亘 / ワタル
声 - 関根有咲
小学生の少年、とんぼに惚れており、とんぼに認めてもらおうとゴルフにのめり込む。小学生にしてはゴルフの筋が良く、とんぼ同様の自由本坊なゴルフをするようになる。
クタ
声 - 宝亀克寿
悪礫島に住んでいる老人。かつて火之島のゴルフコースを設計した人物であり、悪礫島にも1つだけゴルフコースを作っている。かつては、ゴルフ専門の写真家をしていたが、人の多さを避けるためにトカラに移住した。火之島よりも人口のない悪礫島の中でも、さらに奥地に住んでおり変り者扱いされているが、社交的な性格である。
有働 九五郎(きゅうごろう)
武蔵塚ゴルフ練習場のオーナー
豪快な性格をしている。
有働 八々(やや)
有働家の母
肝っ玉母ちゃん、アニマル柄の派手なシャツを着ている。
有働 一(はじめ)
有働家の長男
レッスンプロ、指導力には定評があり、五十嵐も信頼している。とんぼの自由奔放なゴルフをそのままにしたいと思うがうまくアドバイスを出せず、とんぼの理解者である五十嵐にレッスンを任せることにした。
有働 二子女(にこめ)
有働家の長女
シード5年目のツアープロだが、予選落ちが多かったが、とんぼがキャディーとなりアドバイスをしたところ、迷いを吹っ切り好スコアを出せるようになった。
MIYUkun
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